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言の葉の庭 感想



ネタバレしかしていません。
ご注意くださいね。






予告編をAURAの映画を観た際にやっていて興味を持ち、
仙台で唯一上映されている仙台フォーラムまで足を運んでみた次第でございます。


まず映像美が素晴らしい。
これは誰もが認めるような精緻さで以って映し出され続けます。

話のメイン舞台とも言える庭の中は、都会と思えないほど緑に溢れているのですが、
それに合わせて、その場面では人物の線画までもが背景と同じ緑色になっているにも関わらず、
違和感がなく溶け込んでいるのには驚いてしまいましたね。

*この「塗り」に関してはパンフレットやBlu-rayにて妥協のなさが語られています。



ストーリーに関して。

靴を作る青年と上手く歩けなくなった女性との逢瀬、とでも言えばよいのでしょうか。
ひとつひとつのシーンに無駄がなく、ディティールを極めることへの執念のようなものが感じられました。

新海誠監督のロングインタビュー(Blu-ray特典映像より)では、最初かいたとき、
ユキノは嫌な女性になってしまったので(朝っぱらから公園でビール飲んでるとかあれやこれや)、
そうなってしまっただけの理由を積み上げていく必要性があったというようなことを仰っています。

ここから感じられるのは、描きたい部分(本質)が先にあって、
そこに行き着くためには、着地点から逆算して確かな道筋を作る、という意志です。

故に無駄がなく合理的で、辻褄の合うお話だったのだと思うのです。
そこにつけ入る隙がなさすぎるのが、ちょっと惜しかったかなとも思いました。
遠回り的な、お遊びみたいな緩みも、どこかにあって欲しかったかも、なんて思ってしまう自分がいます。


ただ、まあ、なんていうかね。
そんなこんながどうでもよくなるくらい、素敵なお姉さんでしたね、ユキノさん。
スパイラルの羽丘まどかお姉さん以来に胸がときめくお姉さんっぷり(私的に最上級の讃辞のつもりです)。

主人公も遺憾なく好青年してくれて、もう社会人になってしまったおっさんの自分には眩しい。

でも、大人びている彼がユキノお姉さんと話している姿は実に自然で、
一回りも年齢が離れているとは思えない、相性のよさが見ていて気持ちよく心地よかったです。
「人生で今が一番幸せかもしれない」と同時に思うシーンは、ムサイ男の私でもきゅんとしましたからね、本当。

その流れで彼は告白する。
彼女はそれとなく諌める。
彼は別れを告げ部屋を去る。
淹れたてだったコーヒーは湯気を失い、冷めていく。
ユキノは衝動に突き動かされ、裸足で彼を追いかける。
階段で外を眺める彼を見つける。
一悶着あって、
そして抱き合う。
――歌が、流れる。

ここのジェットコースターに揺られているかの如くの疾走感に、高低差に、痺れました。
これはもう観てくれとしか言えませんし、
観た人とは語り合いたくなる、そんなシーンです。

あの庭で、靴がなくても歩けるように練習していたのだと語っていた彼女が、
靴も履かずに駆け出していくことからも、
このことが彼女を根っこのところから救ってみせたのだと思います。


結局。
彼女は実家に帰って、故郷で教職を続け、
彼はまだ高校生のまま。

でもいつか二人は再会して、
肩を並べて歩いてゆくのだろう。

そう思わせてくれるだけの積み重ねが作中にあったと感じたので、
これはすごくいい作品だなと改めてしみじみと思いました。



台詞に関して。

まるで世界の秘密そのものみたいに彼女は見える、
違う世界を見ていたのねとか、
二十七歳の私は、十五歳の頃の私より少しも賢くない、
上手く歩けなくなった、といった言葉は、
それぞれ思うところがあって、幾らでも筆をすすめられそうなんですが、
いちいちひとつひとつを拾い上げていくと収拾がつかなくなりそうなので敢えて扱わない方向で。


全体的に好きな言葉選びが目立ちましたね。
好感触です。



Blu-rayを見返して気付いたこと(初見で気付きましょうね私!)。

・アルコールの持ち込み禁止の立て札が最初にもう堂々と出ているwww
・靴のデザイン案に早い段階で紅葉の柄が……。
・本棚には大辞林や柿本人麻呂の本などずらずらしてる……(映画館では文庫の小説タイトルに目がいってましたね……)。
・なんでエレベーター無視して階段行ったんだろって思ってたけどエレベーター点検中だったのね……。
・最後の手紙「長くなりましたがここまで読んでくれてありがとう。またお便り書きます」的なことが書かれていたが、
 その便箋を折りたたむ際、確かに何枚にも渡って書かれている厚みが見て取れました、芸が細かいなぁ。

初見で気付いたのは、昔に母に家族で贈った靴がDIANAの物で、
ユキノの部屋にもさり気なくDIANAの紙袋がかかっていたこと。


他にも気付いていないだけでいっぱいギミックが凝らされているのでしょうね。
私はこういうの鈍い質なんで、お前こんな重要なこと見落としてるよ!みたいなのがありましたら、
コメントやツイッターでご指摘下さると嬉しいです。
気付いてたけど載せ忘れてたのあったらそれはそれでごめんなさいと先んじて謝ります、ええ。



大まかな感想はこんな感じでしょうか。
何かまた思いついたり見直して感じ入るところがあれば更新するかと思います。


ともあれ、こんなところまで読んで下さり、ありがとうございました。
ではでは、また。

| soemon | 23:43 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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