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グッドモーニング・コール 感想

 

『グッドモーニング・コール』 感想

 

 

 

少女マンガの話になったとき、人に薦められたため、
読んでみることにしました。

 

「読みます」と答えた手前、約束は守らないといけませんからね。

それで、読みました。

 

面白かったです。

 

面白かったんですけど、あまリ深くは刺さらないというか、
残るものが少なかったな、というのが正直なところでした。

 

私はマンガや小説が大好きで、
本当に大好きで、
これらの作品を鑑賞するときばかりは、
自分の気持ちに嘘をつけないというか、つきたくないんです。

 

何が言いたいのかと申し上げますと、
薦めてくれた人に迎合するようなことはしたくないし、できない、というお話です。
ただただ正直に、感じたことを述べ、綴りたいと思います。


まず、『グッドモーニング・コール』のあらすじを引用してみます。

 

両親の都合で、卒業までの半年間、マンションで一人暮らしをすることになった中三の菜緒。
ところが引っ越しの日に、何と別の男の子が同じ部屋に引っ越しをしてきたから大変!
しかも、彼は同じ中学の上原くん。結局同居するハメに!?

 

(『グッドモーニング・コール 1』集英社文庫 裏表紙より引用)

 

悪徳不動産会社に騙され、住もうとしていた物件が二重契約であったため、
やむにやまれず、ルームシェアをすることから、物語が始まります。

 

中学生同士でルームシェアするまでに至る過程が、
どうにも無理くりな感じが強くて、まず躓きました。

 

当時の不動産業界がどうかは知りませんけど、幾ら悪徳であっても、
保証人や契約者が親だか未成年後見人だか知りませんが、
中学生が住むことのリスクを恐れ、回避しようとしませんかね。

 

大家さんも大家さんで、家賃払ってくれるなら誰でもいいって頭大丈夫なのか?
契約は賃貸人(大家)と賃借人で交わすのであって、不動産会社は媒介でしかないんだぞ。
家賃の回収リスクもあるし、それ以外の厄介事も絶対ついて回るでしょ。
そもそも契約書はそれぞれあったわけで、おかしいとか思わなかったのか?

 

とか、ツッコミどころが多過ぎました……。

また、高校生ならまだ辛うじて許せなくもないんですけど、
中学生が年齢詐称してバイトしたり、
親に黙って異性と同居したりとか、流石にマズくない?

 

上原くんの兄である卓也氏は全然出てこないですし。

 

親代わりならもちっとしっかりして欲しい……。

言い出すとキリがないので、ここら辺までにしておきましょう。

 


では、キャラクターに触れつつ所感を。

 

主人公の菜緒。
明るくて天然で、感じのいい子。

それ以外、あまり言葉が浮かんでこない……。

 

主人公なのに。
ヒロインなのに。
流されてばかりだからか、個性らしい個性が見えてこない気がしました。

 

対して、上原くん。

ヒーローとはいえ、滅茶苦茶イケメンで秀才で、
バイトしてても成績は学年上位で。

 

……設定盛り過ぎでは。

 

「上原くんはみんなのものだから、抜け駆け厳禁」
みたいな協定がでてきて、
それに抵触した菜緒を締めにかかる同級生とか、
もうコッテコテの王道展開。

 

連載開始が1997年だから、当時は新鮮だったのでしょうか。

この感覚は『To Heart』をプレイしたときに似ていました。

(奇しくも、『To Heart』も1997年発売ですね)

 

その後に連なる作品に多く触れてしまったがために、
展開が読めてしまったり、月並みに感じてしまう現象。

(実際にそうなのか、正しいかを証明する術は持たないが、そういう感覚が常にある)

 

古典とでも評すべき存在で、
それらを下敷きにしているからこそ今があるんでしょうけれど、
古臭さは拭い去れない、みたいな。

 

ヒロインの友達である、紺野まりなの情報通設定とかも、
見たことあるーってなるし、
草薙ななこの二面性も、あるあるやんけってなりました。

 

ここら辺の導入部からして、
読み進めるのはちょっとキツイかもしれないと思っていたのですが、
お互い好き合った辺りからは、
想い合って、助け合ってという関係性が微笑ましく、
テンポよく読めたので、楽しめました。

 

ただ、どこかちぐはぐというか、肩透かしをくらうことも多かったですね。
菜緒のために、好きそうな映画のビデオを上原くんが借りてきてくれるんですが、

「(うれし――…)さっそく今晩見ようねっ」と菜緒が笑いかけたら、
「え おれは見ないよ ひとりで見て」
「!?」
(なんかちがう気がする……)
と思いながらも、一人で見るシーンがあります。

 

ないでしょ.JPG

 

 

なんかちがう気がする、
じゃなくて、
絶対違うだろ、これ。

二人で楽しめる映画探せや……。

 

なんというか、上原くん、よくわかんないんですよね。
どこかずれてるというか。


バイトしまくりだし、そりゃあ菜緒も不安になるわってことが多くない?

イケメンなのかもしれないけど、
行動が恰好いいかというと、個人的には刺さらない……。

 

あと気になったのは取り敢えず2点。

ひとつは、デフォルメの濫用。
デフォルメされるキャラやシーンが多過ぎませんか。

 

デフォルメ自体を非難するつもりは一切ないんですよ、
私だってSDキャラとか、二頭身キャラとかだって好きですし。
デフォルメによって生まれる、「コミカル感」には概ね好意的です。

 

しかしながら、この作品は多過ぎる。

 

ここまで多用しちゃうと、かえって見づらいですし、
あまりに現実離れ感が強くなってしまい、
感情が追いつかなくなってしまう。

 

作画コストを抑えるために意図的にやってるのかな、とか、
邪推してしまうくらいの頻度です。

 

これはちょっと合わなかったですね。

 


で、もうひとつは、ショッピングするシーンが多過ぎる!
何枚服買えば気が済むんだよお前ら!

 

現実の女の子って、
あんなにしょっちゅうしょっちゅう服を買うのかい?
バイトしてもしても足りなくない、あれ?

 

てか、どんだけ買い物のシーン挟むの?

上原くんもバイトバイトバイトで、全然一緒に出かけないしさ。

だからこその同居なのかもしれないけども。

 

とまあ、なんか引っかかっちゃうところが多いマンガでしたね。
まりなとみっちゃんの恋愛なんかも、
もっと描写できたんじゃないかと思いますし。


不満ばかり論う(あげつらう)のもどうかと思うので、
よかったところも挙げてみます。

 

ちょこちょこ女性陣の髪型が変わるの、かわいくていいですね。
女性漫画家の方は自然にヘアアレンジを取り入れていること多いですよね。
『恋愛ラボ』のリコみたいなの。

画像だとこんな感じ。

 

 

ヘアアレンジ_3-1.JPG

 

ヘアアレンジ_3-2.JPG

 

ヘアアレンジ_3-3.JPG

 

はい、かわいい。

 


エピソードとしては、

あべっちこと阿部 順と、大石つかさの微笑ましいやりとり
あのシーンはよかったですね。
本筋より読み応えがあった気がします。

 

 

お嬢様中学校の美少女相手に告白されたあべっちが、

連日デートしまくりで、騙されているんじゃないかと周囲が怪しむ中、

実は既に海外に行くことが決まっていたため、

心残りがないよう告白したのだと後から明かされる。

それ故、あべっちは有限の時間を最後まで大事にしていたのだと、読者は知る。

 

これまたどっかで見たことある話のような気がしないでもないのですが、
あべっちの、普段はおちゃらけていても、
芯の部分はまっすぐで、気持ちのいいキャラクターぶりが、
上手く表現されていたと思いますし、
作中では珍しく純粋に可愛らしい大石つかさの存在もよかったです。

 

その後も大石つかさちゃんはちょいちょい話題になるとはいえ、
きちんとした出番はこれっきりだったため、勿体ないとさえ思えました。

 

あとは、あべっちをどのような過程で知って、
どうして惹かれて、告白するに至ったのか。
そもそもどうやってバレンタインにチョコを渡したのか、
そういった一切合切が省略されていていたのも勿体ない。

 

こういう細部への気配りが、物語に深みを与えうると思うんですがね……。

 

例えば終盤の↓のようなモノローグ。

 

モノローグ_2-1.JPG

モノローグ_2-2.JPG

 

菜緒にしては珍しくシリアスちっくになっていて、
少女マンガしてるじゃんと思いきや、
さして尾を引くこともなく、上原くんとの軽いやりとりですぐ解決してしまう。

 

少年マンガが壮大なストーリーやアクションで魅せるものだとするならば、
少女マンガは感情の機微や心情の揺れ幅に価値があるのだと思いませんか。

 

そこにいくと、『グッドモーニング・コール』は、
あっさりテイストというか、深入りしないんですよね。

 

ゆりりんの旦那が不倫していると感じ、

当てつけに自分も浮気してやる!

どブチ切れてるときですら、これ(↓)ですもん。

(ちなみに、この3Pは省略しておらず、連続しています)

 

 

ゆりりん_3-1.JPG

ゆりりん_3-2.JPG

ゆりりん_3-3.JPG

 

 

シリアスが長続きしねぇ……。


先に挙げたデフォルメの多用も、
「あっさり」という印象を強めているのだと思います。

 

全体的に悪くはないだけに、惜しいんですよね。
もう少し捻れば、もっとよくなるのにって感じます。

 

ただ、滅茶苦茶売れた作品らしいですし、
『グッドモーニング・キス』という続編が現在も連載されているので、
既に十分に成功された作品であり、私の指摘は的外れなのかもしれません。

 

しかしながら、決して無責任なつもりも、
揚げ足取りのつもりもなく、そう感じたから、そのように書いています。

 

100点満点で採点したら、70〜75点くらいでしょうか。

 

合う人が読めば、高得点なのでしょうが、
私にはそこそこってところでした。

 

つまらなくはない、面白い、面白いけど、ちょっと。

そんな感じでした。

 

そもそも対象年齢、対象世代が低めに設定されているのでしょうしね。
三十路のおっさんなんてお呼びじゃないんですよね。

 

これを真っ先に言っちゃうと全てが無に帰してしまうので、
ここまで踏ん張りました。頑張りました。

 

久し振りに少女マンガをがーっと一気読みして、
自身の少女マンガ遍歴を思い返したりしたので、
そういった話も気が向いたらしてみようかなと思います。

 

それでは、また。

 

| soemon | 23:07 | comments(0) | - | pookmark |
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