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君の名は。 感想(ネタバレ有り)

 

ネタバレ前提で感想を書き込みます!!


まだ未視聴の方は、

 

直ちにブラウザバックをお願い申し上げます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、率直な感想。


結論から申し上げまして、大変面白かったです。

 

「転校生」等のお約束である、「思春期男女の入れ替わりもの」という鉄板のギミックを使っている以上、
調理を誤らなければ、まず不味いものは出来上がらないだろうくらいの気持ちで臨んだのですが、
その部分をしっかり満たした上で、更に上質なものに仕上がっており、私は大変満足しました。

もう1回くらい観に行きたいですし、BD出たらたぶんお買い上げしてしまうことでしょう。


ストーリーに関しては公式ページのSTORYの項目をご参照くだされば、

それで十分だと思いますので割愛します。
ちなみに私はこの部分すら前知識として仕入れておりませんで、
「シン・ゴジラ」を観に行った際の予告ムービーに目を通していた程度です。

 


さて、本題。


この作品の根幹を成す、「思春期男女の入れ替わりもの」として、ちゃんと楽しくてよかったなぁ、と。
瀧が三葉の体に入る際、毎回胸を揉んでしまう辺りは、男たるもの分かってしまいますね。

思春期であり、異性であるからこその身体のギャップ、そこから生じるすれ違い、いいじゃないですか。
そうだよこれだよ、このお約束、大好きさ。

その上で、この作品は、入れ替わったままでの接触がない、というのがミソな訳です。

 

なので、二人を繋ぐものは、周囲の反応と、スマホに残された手記等になります。

その関係性が自ずと見えてきた二人は、スマホを媒介にして禁止事項を制定し、
お互いの安息のため、そのルールを守って生活しようとするのですが、
目が届かない故に、お互いがお互い好き勝手な行動をしてしまい、
いつもの日常に変化が立ち表れていって……。

 

と思った矢先に、入れ替わりが起きなくなってしまう。

 

不思議に思った瀧は、薄れていく朧げな記憶に縋りつくようにして風景のスケッチを描き起こし、
写真展で偶然見た景色も合わせて、それらを頼りにしながら三葉へ会いに飛騨へ向かいます。

 

そこに付いてきたのが奥寺先輩と司で、瀧が必死に手がかりを得ようとしている最中、
後ろで観光したり遊んだりしている画の二人は微笑ましく、いいシーンだなと思いました。
その二人だって、様子のおかしい瀧を心配して来てくれているのですしね。
いい人間関係だなと素直にそう思えました。

 

その旅先で、探していた町は糸守町であることを思い出すのですが、
ここで、実は三年前に彗星が落下し、壊滅した町であったことが判明します。
その被害の凄まじさは、3.11を彷彿させるものだったと言ってよいのではないかと思います。

 

三年前の事件のため三葉が亡くなっていることも分かり、瀧は必死に情報を漁ります。
瀧が手首に巻いていた「組紐」に奥寺先輩が気付き、それが呼び水となって、
一葉の言っていた「ムスビ」と「宮水神社のご神体」、「口噛み酒」といったピースが結びつき、
瀧は独り、「ご神体」を目指しました。

 

ようやく辿り着いた「ご神体」を目にして、ただの夢ではなかったことを確信する、瀧。
三葉の「口噛み酒」を一口含むことで、今一度、二人を引き合わせることに。

 

ここの映像がそれはそれは美しくて、魅入ってしまいました。
色彩が豊かで、なんでしょう、貝殻の裏側の真珠層のような鮮やかさで、とても綺麗でした。

 

そして、隕石が落ちる三年前のあの日に入れ替わった瀧は、
町民を避難させるべく、行動を起こします。

 

このあたり勅使河原克彦ことてっしーが有能過ぎて、出来過ぎ、ご都合主義かな感は否めないのですが、
それがどうした面白けりゃいいんだって感じでやり通したのは、個人的には悪くなかったかと思います。
入れ替わりに、時間超越に、ループまでしているのだから、今更何を言っているのとすら我ながら思いますし。

 

町長である三葉父に、隕石落下を訴えるも相手にされない中、
三葉がそこにいることを感じ取り(思い出し? 気付き?)瀧は改めてご神体へ。
辿り着き、声は聞こえるものの、見えない。

だけれども、「カタワレ時」に、入れ替わらない姿のままで、瀧と三葉は初めて出会います。

 

ここの場面は、今までの積み重ねが報われる、素敵な時間でしたね。
あのくだらないやりとりも、最後に名前を忘れないようにと手に書き残した言葉も、
お約束ではあるけれど、それでもやっぱりいいものはいいんだよなーと極まりました。

 

三葉は、取り戻した体で、あの日に戻り、隕石に抗います。
しかしながら物事は上手くいかず、躓いて、転んでしまう。
そのとき、踏み出す力をくれたのは、手のひらに残された「すきだ(好きだでしたっけ?)」の文字。
これじゃあ名前分からないじゃんと洩らしながらも、三葉は再び走り出し、父と向き合う。

 

そして八年後。

 

瀧は就活の真っ最中で、日々の喧騒に埋もれながら、何かを探し求めている。
でも、それが何なのか、分からない。
けれども、間違いなく、衝動としてそれがあることだけは分かる。

 

そんな最中、成長した三葉と再会し、物語の幕が下りる。

 

 

過去の新海誠作品はビターエンドとでも評すべき終わり方が多かったものの、

今回、私は、絶対ハッピーエンドになるだろうと物語が進むにつれ確信していましたし、

ならなかったらネットで呪詛を並べまくる! と心の内で息巻いていました。

 

何故なら、この二人が結ばれないと、誰も納得できないだろうと思ったからです。

何それ、と思われるかもしれませんが、これだけ綺麗に積み木を組み立てていって、

最後に跡形もなく壊してしまうなんて、そんなの絶対勿体ないし、誰も望んでいないことでしょう。

 

これだけ丁寧にいい仕事をしているのだから、その職人の仕上げを信頼しないわけにはいかない。

最後は綺麗に終わると信じて疑いませんでしたよ、私は。

 

新宿での歩道橋ですれ違うシーン、

やきもきしながらも、ここはフェイクだろと見抜いていました。

(脱線しますが、受験生だった時分、予備校に通うためあの歩道橋めっちゃ使っててすげぇ思い入れがあり、

 映ってくれて滅茶苦茶嬉しかったです)

 

ラストの階段で、すれ違うシーンも、絶対振り返ると信じていたし、

実際、そのとおりに振り向いて、瀧は叫んでくれました。

 

もう、なんもいえねぇ。

超気持ちいい。

 

 

 

 

とまあ、ちょいちょい感想挟みながら纏めてみましたが、ざっとこんなもんではないですかね。

 

的外れだったらごめんなさいと先んじて謝っておきますが、
個人的には時と場所を隔てた繋がりのある男女の出会いとなると、
乙一さんの短篇小説、「Calling You」を思い出しました。

 

そして「ご神体」がセーブポイントのような役割を果たす部分では、「CROSS†CHANNLE」、
村(町)全体を救うために時を戻すというのは「ひぐらしのなく頃に」辺りが似ているなと感じました。

 

勿論、更に「入れ替わり」や「彗星」「伝奇」等の要素を多分に盛り込んで、
それでいてコミカルに描きつつ、最後はしっかりハッピーエンドで締めて、それを約100分に凝縮している。

 

何それ、そんなの面白いに決まってんじゃん!
それに新海誠作品の真骨頂の映像美もキレッキレで言うことないじゃん!

 

とは思うのですが、ところどころ他にも思いついたことを挙げていきます。

(私がちゃんと作品を理解していないだけの可能性も多分にあるので、
その場合はご指摘願います)

 


・何故、三年前ないし、三年後だと気付かないのか。

 

スマホの画面にあまり注目していなかったのですが、年月はどうだったのでしょう。
そうでなくとも学校生活を送っているなら、ニュースなり黒板の日付なりで気付きそうなものですが。
お互い心の底ではリアリティのある夢だと高を括っていたのかもしれませんが、それにしても、とは思います。

 

それは元より、三年前のあの日の前日、三葉が会いに来ていて、けれども瀧は三葉が分からなくてすれ違って、
三葉は髪を切るというのはどうにも心が痛かったですね。
組紐を瀧に手渡してしまったからというだけではなく、

てっしーの言うとおり失恋という意味合いもあったのだろうと思われます。
ショートカットも悪くないですが、やはり前のほうがよかったですもんね、あれ。

 

あと、14才の瀧に会ったら幼いんだから流石に気付くっしょ、というネット意見には強く出れませんね……。

確かになぁ。

男子三日会わざれば括目して見よと言いますしね、思春期なら尚更と言えそう。

 

まあ、慌てていたこと、気が動転していたこと、

満員電車内という狭く窮屈であり、また気恥ずかしさから直視できていなかったこと等で、

気付かなかったとしてもギリいけるかなと。

 

時間に余裕があって、落ち着いて考えれば、幾つかの矛盾点に気が付き、

解に辿り着くことも恐らくできた思われるのですが、

瀧に気付いてもらえない傷心の状態で、そこから隕石落下まで一日だけですからね。

そう考えれば、まあ分からんでもないかも? です。

 

 

・何故、瀧だったのか。

 

これって、ちゃんと伏線とか理由があったのに、私が見落としていただけ?
三葉は神社の娘で、口噛み酒の習わし等を行う人物であるため相応しい立ち位置なのですが、
相手が瀧であったことに必然性は存在したのでしょうか。

 

過去に糸守町と何らかの接点を抱えたりしてたのかなと思いつつ、

それらしい描写はなかったよなぁとか。

 

口噛み酒を含んだ、あのタイムスリップするシーンで三葉の組紐があたかも運命の赤い糸のように描かれているので、
絶対的であり、運命的であり、宿命的な相手として、瀧が存在したのだろうとは思われるのですが、
ここまできたら、それが瀧であったことに意味付けをしておいて欲しかったと思います。
(屹然と明確に示されているのに私が気付いていないだけでしたら本当にごめんなさい)

 

 

・父(宮水トシキ)の存在

 

他の方の考察を読んで確かになぁと思いつつ、思い浮かんでいたことを絡めて書きます。

町長である三葉の父に、入れ替わっている瀧が隕石が落下する未来を告げ、取り合ってもらえないシーン。

馬鹿にしやがってだかなんだか瀧が言って、父の胸ぐらを掴み上げる。

その際、父が、「お前は誰だ」と問う。

 

確かに引っかかっていたのですが、いまいちすっきりしないもやもやのままで観終えてしまいました。

けれど、父のこの反応は、過去に中身が入れ替わったことがあり、

だから、すぐさま三葉の入れ替わりに気付いたのではないか、という説を目にして腑に落ちました。

ああ、そうね、その通りですわ。と。

そして自身の読みの浅さに恥ずかしさを覚えました。

 

祖母である一葉も、そしてその娘(三葉の母)も、そういった経験があると洩らしていたことから、

その説は補強されます。

 

断定こそできないものの、過去に父と母が入れ替わり、瀧と三葉のようなことがあって、結ばれた。

それ故、三葉の入れ替わりにすぐさま気付けた。

父と母が入れ替わった当時も時制が食い違ったのであれば、未来を見たという三葉の言葉に説得力が増します。

だから父は元に戻った三葉の言葉を信じ、町民避難に協力した、とすると筋が一本通りますね。

なるほどなるほど。

 

 

・最後の入れ替わりは隕石落下前(未体験)の三葉でないとおかしい?

 

隕石が落下する前の三葉と入れ替わるのであれば、瀧の中に入った三葉は、

当然、隕石が落下する前の三葉なのではないか、という意見を拾いました。

 

それは一つの道理のような気もしますが、

この場合に限って言えば、単なる入れ替わりではなく、

ループまでしていることで、今までとは大きく状況が異なります。

 

宮水神社の「ご神体」の超常的力が奇跡を起こしたとか、

そんな感じじゃないですかね、たぶん。

 

単なるループであっても記憶を保有しているのなら、

三葉は入れ替わっていなくても町民を守るために動くのでしょう。

 

しかしながらループは入れ替わりと同時にしか起こせなかった、

いや、既に死んでいるのだから、外界の瀧側からしか起こせなかったとするのが妥当なのかな。

なんで、整合性はどうだかよく分かんないですけど、

この点に限って言えば、そんなに気にならないなと私は思います。

 

 

・ユキちゃん先生の存在

 

この人、「言の葉の庭」の雪野先生じゃない? 声も花澤さんっぽいし。
と思って観ていたのですが、やはり花澤香菜さんでしたし、
家に帰って読んだパンフレットにも言及があり、雪野先生で確定しました。
好みはあるのでしょうが私はこういうクロスオーバー好きな人なので、ちょっと嬉しかったです。

 

 

てな感じで簡単に思ったことをまとめてみました。
ちょっと書き疲れたのでこの辺で。
改めて新しいことが思い浮かんだら更新するかもです。

 

とにもかくにもとてもよかったので、
皆さんもう一度観に行きましょうね。


ではでは。

 


あ、あと、言の葉の庭の感想はコチラです
同じくネタバレ前提ではございますが、興味がある方は是非合わせてお読みください。

| soemon | 20:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 感想。



ネタばれ注意。



というより、既に観た人が読む前提で書きます。
伏せてあれこれ述べられる類の作品ではないと思いますので。

なので未鑑賞の方はブラウザの戻るボタンクリックをお願いします。
誤って読まれても一切責任持てませんので、悪しからず。














まず簡単なおさらい。


魔法少女がナイトメア退治に勤しむ世界。
段々と記憶が戻っていくほむら「私たちの戦いって……、これで良かったんだっけ?」
ほむら「これ、魔女の結界と同じだ! 誰かが私たちを閉じ込めて都合のいい世界を作り上げてる!」
この世界にまどかがいることから、まどかの記憶をただ一人有しているほむら自身が犯人と判明。
実際は、ほぼ魔女化したほむらが作り上げた空想の世界(結界内)。
円環の理が正しく作用しなかったのはQBらによる隔離妨害によるためだった。
そのせいでアルティメットまどか(円環の理)までもを取り込み、記憶消去に成功していた。
QBらに円環の理を攻略されるくらいなら魔女になる方を選ぶほむら。
その魔女化を阻止しようと円環の理の一部となったさやか、べべらによってほむら魔女化を食い止める。
まどかだけに気を取られていたQBはさやかべべらの従者を見抜けなかったのでアウト。
無事、円環の理が機能し、ほむらが救済される……はずだったが、
ほむらがこれを拒み、あろうことか円環の理の力の一部を略奪。
ほむらは悪魔化し、その力を世界改変に行使する。
まどかは円環の理時の人間部分のみ略奪されている状態でほむらと再会する。

みたいな感じですかね。
掻い摘んでストーリーを箇条書きにすると大体こんな感じだと思います。


個人的には、かなり面白かったです。
よくできてる、と思いました。

まず演出面は、流石の一言。
戦闘シーンは言うに及ばず、
背景ひとつひとつがこれぞまどマギ!みたいな独特の世界観を表わしていて感心しきり。
もう本当に言うことないです。


ストーリー面に関して。

序盤。

あれがほむらの理想だったんだと知られたのがすごくよかったですねぇ。
みんなで協力してナイトメアを倒しつつ、ときにお茶会開いてガールズトーク。
そんな世界を好ましいと思う感情が、ほむらにもちゃんとあるのだと示されたことに、
大きな意義を感じました。

中盤。

記憶を失っているアルティメットまどかが、一人はさびしい、辛いものだと吐露する場面。
そしてそんな選択をさせてしまったことに後悔するほむら。

まあ、そりゃそうだ。
永遠にぼっちになる選択肢を選び取れる人間なんているわきゃない。
でも、それでも、それを決断したまどかは本当に強いですよね。
中学生なんてとても思えない精神性ですわ。


終盤。

円環の理の力をもぎ取った場面。
ついったーで、後味悪げなツイートが散見されたので、
いやまあそのまま終わるとは思ってなかったのですが、
まさかそうくるかwwww
と笑ってしまいました。まじで。


ただ、ほむら本人が言っていたように、これは愛がさせた行いな訳です。
一人はさびしいと言ったまどかを一人にしないために、
現世に繋ぎとめるために、敢えて円環の理の一部を奪った。

いつか記憶を取り戻し、アルティメットまどかが敵になったとしても、
それさえも受け止める覚悟で、彼女は悪魔になった。
愛、故に。

そもそも延々とループ世界で闘い続けたのだってまどかのためだけにしていた行為です。
全てはまどかのため。
この一貫性こそが、ほむらをほむらたらしめている。
そう考えれば、力を奪ったことにも正当性が見えてくる。
ですからこの終わり方は、バッドエンドっぽい割に、妙に納得がいくというか、しっくりくるのです。

勿論賛否両論あるでしょう。
けれども私自身はいい着地点だったと拍手を贈りたい。


でも最初、円環の理の力をもぎ取ったシーンではもう本当にやっちまったな!
って思いまして、円環の理全否定っすかwww
なんて思ってはいたのですが、魔獣のいる世界である以上、
円環の理自体は作用しているみたいなんですよね。

アルティメットまどかは人間部分だけ奪われているみたいですから、
アルティメット概念だけをシステムとして残し、
まどかの人格を分離させ現世に呼び戻している感じなんですかね。
頭よくないからそういうところアバウトな解釈しかできないのが歯がゆいです。





取りあえず観に行ったその日の内に簡単に残せておけたので自己満足を果たせました。
次なる感想なり思いつきがあればまたブログに載せるかもしれません。
それではでは。
 
| soemon | 07:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
言の葉の庭 感想



ネタバレしかしていません。
ご注意くださいね。






予告編をAURAの映画を観た際にやっていて興味を持ち、
仙台で唯一上映されている仙台フォーラムまで足を運んでみた次第でございます。


まず映像美が素晴らしい。
これは誰もが認めるような精緻さで以って映し出され続けます。

話のメイン舞台とも言える庭の中は、都会と思えないほど緑に溢れているのですが、
それに合わせて、その場面では人物の線画までもが背景と同じ緑色になっているにも関わらず、
違和感がなく溶け込んでいるのには驚いてしまいましたね。

*この「塗り」に関してはパンフレットやBlu-rayにて妥協のなさが語られています。



ストーリーに関して。

靴を作る青年と上手く歩けなくなった女性との逢瀬、とでも言えばよいのでしょうか。
ひとつひとつのシーンに無駄がなく、ディティールを極めることへの執念のようなものが感じられました。

新海誠監督のロングインタビュー(Blu-ray特典映像より)では、最初かいたとき、
ユキノは嫌な女性になってしまったので(朝っぱらから公園でビール飲んでるとかあれやこれや)、
そうなってしまっただけの理由を積み上げていく必要性があったというようなことを仰っています。

ここから感じられるのは、描きたい部分(本質)が先にあって、
そこに行き着くためには、着地点から逆算して確かな道筋を作る、という意志です。

故に無駄がなく合理的で、辻褄の合うお話だったのだと思うのです。
そこにつけ入る隙がなさすぎるのが、ちょっと惜しかったかなとも思いました。
遠回り的な、お遊びみたいな緩みも、どこかにあって欲しかったかも、なんて思ってしまう自分がいます。


ただ、まあ、なんていうかね。
そんなこんながどうでもよくなるくらい、素敵なお姉さんでしたね、ユキノさん。
スパイラルの羽丘まどかお姉さん以来に胸がときめくお姉さんっぷり(私的に最上級の讃辞のつもりです)。

主人公も遺憾なく好青年してくれて、もう社会人になってしまったおっさんの自分には眩しい。

でも、大人びている彼がユキノお姉さんと話している姿は実に自然で、
一回りも年齢が離れているとは思えない、相性のよさが見ていて気持ちよく心地よかったです。
「人生で今が一番幸せかもしれない」と同時に思うシーンは、ムサイ男の私でもきゅんとしましたからね、本当。

その流れで彼は告白する。
彼女はそれとなく諌める。
彼は別れを告げ部屋を去る。
淹れたてだったコーヒーは湯気を失い、冷めていく。
ユキノは衝動に突き動かされ、裸足で彼を追いかける。
階段で外を眺める彼を見つける。
一悶着あって、
そして抱き合う。
――歌が、流れる。

ここのジェットコースターに揺られているかの如くの疾走感に、高低差に、痺れました。
これはもう観てくれとしか言えませんし、
観た人とは語り合いたくなる、そんなシーンです。

あの庭で、靴がなくても歩けるように練習していたのだと語っていた彼女が、
靴も履かずに駆け出していくことからも、
このことが彼女を根っこのところから救ってみせたのだと思います。


結局。
彼女は実家に帰って、故郷で教職を続け、
彼はまだ高校生のまま。

でもいつか二人は再会して、
肩を並べて歩いてゆくのだろう。

そう思わせてくれるだけの積み重ねが作中にあったと感じたので、
これはすごくいい作品だなと改めてしみじみと思いました。



台詞に関して。

まるで世界の秘密そのものみたいに彼女は見える、
違う世界を見ていたのねとか、
二十七歳の私は、十五歳の頃の私より少しも賢くない、
上手く歩けなくなった、といった言葉は、
それぞれ思うところがあって、幾らでも筆をすすめられそうなんですが、
いちいちひとつひとつを拾い上げていくと収拾がつかなくなりそうなので敢えて扱わない方向で。


全体的に好きな言葉選びが目立ちましたね。
好感触です。



Blu-rayを見返して気付いたこと(初見で気付きましょうね私!)。

・アルコールの持ち込み禁止の立て札が最初にもう堂々と出ているwww
・靴のデザイン案に早い段階で紅葉の柄が……。
・本棚には大辞林や柿本人麻呂の本などずらずらしてる……(映画館では文庫の小説タイトルに目がいってましたね……)。
・なんでエレベーター無視して階段行ったんだろって思ってたけどエレベーター点検中だったのね……。
・最後の手紙「長くなりましたがここまで読んでくれてありがとう。またお便り書きます」的なことが書かれていたが、
 その便箋を折りたたむ際、確かに何枚にも渡って書かれている厚みが見て取れました、芸が細かいなぁ。

初見で気付いたのは、昔に母に家族で贈った靴がDIANAの物で、
ユキノの部屋にもさり気なくDIANAの紙袋がかかっていたこと。


他にも気付いていないだけでいっぱいギミックが凝らされているのでしょうね。
私はこういうの鈍い質なんで、お前こんな重要なこと見落としてるよ!みたいなのがありましたら、
コメントやツイッターでご指摘下さると嬉しいです。
気付いてたけど載せ忘れてたのあったらそれはそれでごめんなさいと先んじて謝ります、ええ。



大まかな感想はこんな感じでしょうか。
何かまた思いついたり見直して感じ入るところがあれば更新するかと思います。


ともあれ、こんなところまで読んで下さり、ありがとうございました。
ではでは、また。

| soemon | 23:43 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
アニメ映画『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』感想。
 
初めに。
ネタばれ抜きに語れる気がしませんので、
原作未読・映画未視聴の方は、各自のご判断でこの記事を読まれるかご判断下さい。











『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』感想。


私は田中ロミオが大好きで、この原作も大好きでした。

なんで今更映画化?
とは思いつつも、映画館に足を運びました。

(宮城県でようやく公開され、その当日に行きましたが、この出遅れ感辛いですわ……)



率直に申し上げまして、すごくよかったです!


原作ファンは概ね満足してしまう出来だったのではないでしょうか。
というのも、原作を読むことで感じられる「痛さ」が、そのニュアンス通りに描かれていましたから。


誰にだって、一度は特別な人間だと思い込んだり、
万能なんだと過信してしまう時期ってあると思うんですよね。

でもそれがいつか、夢から醒めるように薄まっていき、
フツーの、取るに足らない凡人なんだと気付いてしまう頃がある。

でも、それを受け入れられない人たちが、妄想で自分を守る他なかった人たちが、
妄想戦士(ドリームソルジャー)として、この作品では描かれる。

主人公、佐藤一郎は中学時代の三年間ずっと妄想戦士をやった結果、
家族との関係が壊れた。
それらを必死に清算して、取り繕って、無事高校デビューを果たす。

が、そこに筋金入りの妄想戦士佐藤良子が現れる。
彼女に過去の自分を見出し重ねながらも、手を差し伸べるところから物語は始まる。


というのはまあ原作をお読みの方は既にご存じだとは思いますが、
とにかく、原作のそういった部分に、この映画は忠実であったと感じました。

勿論、全てを全てそのままという訳でもなく、かなりカットされています。
和やかな空気漂うパートなんかは結構ごっそりいかれてるなと感じました。

ただそれらは全部パンフレットに書かれてました。
監督、構成、脚本の方々のインタビューからそれぞれ、80分の映像を作る上で、
どれを削り、残すかを十分に吟味したといった旨が見て取れます。


私見でしかないのですが、それはかなり功を奏している、と感じました。
良子への関わり方、「痛さ」との向き合っていく様子、そこにのみフォーカスして、
極力他を削ぎ落としていくことにより、テーマがより明確になり、
ひとつの作品として体を成していると思えたからです。


無論原作愛好者としては、この場面も入れといて欲しかったなーとか、
他の妄想戦士の設定とかもっと掘り下げて欲しかったなーとか、
細かいことはつらつらあるんですけど、もうそれはどうしようもないことですもんね。

むしろこれだけテンポよくすぱんすぱん進んで、
かといって途切れずにまとめせてみせたなと感心するくらいでしたし。

加えて、原作だと文章メインですから、もしかしたら本当に良子は魔女なんじゃないかって、
思わせる描写が幾つもあるんですけど、映像だと良子が魔女でないことが丸分かり(隠蔽式とか)なので、
そういった部分も気を払って上手く仕上げてくれたなと思います。


ただやはり、感想をネットで拾ってみると賛否両論があって、
まあこれはもう仕方ないかなって思いますけど。

あと、これは私の読む力が足りないだけなのかもしれませんが、
原作で良子と出会うシーンに出てくる、モヤのようなもの(情報体)って結局なんだったんでしょう?

原作で伏線回収されてないように感じるんですよね、何度も繰り返し読んだはずなんですけど。
映像化された結果、確かになんらかの気体のようなものが動く感じだったんですけど、
あれってなんだったんでしょう。
良子がただの妄想戦士であることとは別に、不可思議なことがあの世界にはあるのでしょうか?


また、これも原作でも感じていたことですが、佐藤一郎スペック高いんですよね。
春休み程度の期間の代償で上手く高校デビューできてたし、
リア充、高橋の声掛けられるほどのルックスや雰囲気な訳ですし。

なんでそんな人が妄想戦士になったのかだとか(まあこれは良子もですけど)、
どうやって短期間で妄想戦士を克服できたのかとか(あの達観した境地はなかなか辿りつけなくない?)、
なんてことを、あれこれ考えてしまいますね。


でもまあなんであれ、私は原作も映画も大好きて立場でいきたいなと思います。
あっと忘れてましたがBGMすごくよかったですし、
EDのCooRieさんもよかったなぁ。安瀬さんの編曲も流石としか。

なのでBD出たら私は買います、はい。
| soemon | 18:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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